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脳科連バイマンスリーメールマガジン 2024年5月号(No.24)
http://www.brainscience-union.jp
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日本脳科学関連学会連合会員学会・連携法人会員及び評議員の皆さま

バイマンスリーメールマガジン2024年5月号(No.24)をお届けします。
お手数ですが、貴学会内の会員の皆さまへのメール配信をお願い致します。
❏今号のコンテンツ
・脳科連連携法人本会員のご挨拶文:平田 晋也(サンバイオ(株)執行役員 研究開発本部長)
・第22回リレーエッセイ:加藤 光広(日本小児神経学会理事長)
・CAN2024キックオフシンポジウム (6月7日(金))開催のお知らせ
・ランチョン大討論会「私達が望む神経科学の研究環境―よりよき現在と未来へ向けて(仮題)」のお知らせ
・第32回脳の世紀シンポジウムのお知らせ:水澤英洋(脳の世紀推進会議理事長)
・NPO特定非営利活動法人 脳の世紀推進会議 入会案内
・事務局だより

【脳科連連携法人本会員のご挨拶文】
脳科連連携法人本会員 サンバイオ株式会社
平田 晋也
2022年度より産学連携諮問委員会(委員長:池田和隆先生,副委員長:萩原一平先生,阿部修先生)に参画させていただいております。
私は大学で遺伝生化学を専攻した後、科研製薬株式会社、その後は大塚製薬株式会社にて創薬・薬理研究に従事いたしました。その間、爪白癬の治療薬(エフィコナゾール)、アトピー性皮膚炎の治療薬(ジファミラスト)の研究開発に関わりましたが、上市される薬剤の実臨床での価値最適化に大きな関心を持ったことがきっかけとなり、メディカルアフェアーズに転身し、大塚製薬株式会社、武田薬品工業株式会社、セルジーン株式会社にて業務に従事し、現在のサンバイオ株式会社にて、脳神経領域の再生医療の研究開発に携わっております。
 脳神経領域における新薬の創出は、脳というブラックボックスの大きい臓器にアプローチするという点で、様々な側面から非常に挑戦的な部分が多いという点を痛感するとともに、先生方のご議論などから日々学ばせていただいております。さらに、再生医療で脳機能の改善を目指す、という弊社の開発品のような新規パラダイムの創薬は、科学的に未解明な新薬を社会に実装するという点で、医科学的な面のみならず、レギュラトリーサイエンス、法規制、倫理的側面などでも各種課題を抱えており、それらを整備していく必要がございます。しかしながら、脳神経領域の科学的発展に少しでも寄与できるよう、私を含めて全社一丸となり、新薬を患者さんに一日でも早くお届けできるよう日々邁進しております。
 脳科連の活動に参画させていただいていることは、上述のような各種課題にどのように対応していくべきかについて、きわめて多くの洞察と学びを交わさせていただける貴重な機会となっております。
弊社は未だ駆け出しのバイオベンチャーであるとともに、私自身も未熟な点が多々ございますが、今後とも、ご指導・ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。

【第22回リレーエッセイ】
日本小児神経学会理事長 加藤光広
 日本神経病理学会の柿田明美理事長からバトンを受け取り、これまでのリレーエッセイを振り返らせていただきました。
 各学会の歴史や活動が端的に紹介され、その重厚さと幅広さに日本小児神経学会(JSCN)が脳科連の一員であることを改めて誇りに感じました。本学会は、1961年に小児臨床神経学研究会として発足し、1977年に現在の日本小児神経学会に改称し、1991年日本医学会加盟、2009年一般社団法人へ移行しました。現在の会員数は3872名で、1280名の小児神経専門医が全都道府県と海外で活動し、全国のブロック毎に9つの地方会が組織されています。学術集会の他に教育・研修目的で、小児神経学全般に加えて、医療的ケアや子どものこころなど各種セミナーを毎年開催し、毎回400名前後の参加を得ています。会員の40%以上は女性ですが、評議員や委員会における女性の割合が低いため、男女共同参画に向けて数値目標を設定し、子育て中や遠方でも参加しやすいようオンラインもしくはハイブリッド開催を促しています。また、医療に限らず、障がいのある子どもや家族のアドボケートとして福祉や教育との連携、一般の方へのアウトリーチにも力を入れています。小児神経学の特徴として、対象疾患が広範囲で数が多いことが挙げられます。脳性麻痺・てんかん・知的障害が過去の三大疾病でしたが、現在は自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症などの発達障害の診療比重が増えています。他にも頭痛、睡眠障害、腫瘍性疾患、急性脳炎・脳症、自己免疫疾患、血管障害、外因性疾患など多岐にわたります。以前は小児神経疾患の多くが原因不明で、上記の通り症状がそのまま病名になっていましたが、ゲノム解析が進んだおかげで病態や病因に応じて細かく分類されるようになりました。遺伝性疾患の約半数は代謝異常、先天異常、神経筋疾患、てんかん、神経発達症など小児神経と関わりがあり、疾病数は月もしくは週単位で増えています。
 脳形成異常では、ヒト疾患遺伝子の同定を契機に脳形成機構やヒトへの進化機構の解明につながる成果が得られており、国内でも脳科連のネットワークを生かして、基礎系の先生方と共同研究を推進していきたいと考えています。小児神経疾患の多くは希少疾病であり、難治性疾患ですが、分子標的治療薬や遺伝子治療、核酸や低分子化合物を用いたエクソンスキッピングなど新規モダリティの治療法開発が進んでおり、海外では基礎研究の成果が臨床に還元されることが多くなっています。しかし、3月末の脳科連評議員会後に行われた医薬品医療機器総合機構(PMDA)の藤原康弘理事長の講演会では、欧米では承認されているが国内開発未着手の医薬品(ドラッグ・ロス)が増えており、特にベンチャー発(新規モダリティ)、オーファン(希少疾患)、小児で84%を占めることが問題提起されました。小児神経疾患に対する医薬品開発の遅れを取り戻すとともに、海外に展開できるような医薬品を国内で開発することが求められており、本学会として希少疾患のレジストリ、関連学会や患者団体、行政との連携を強化しています。
小児神経領域には原因や病態が未解明の疾患がまだたくさんあり、未開拓のフィールドが広がっています。本学会の力だけでは太刀打ちできないのは明らかで、脳科連の先生方に小児神経領域に関心を持っていただき、関係を深めていきたいと考えています。そのためには、小児神経学を小児科の一領域ではなく、小児の神経科学と捉え直すことが求められています。過去には、福山型先天性筋ジストロフィーの福山幸夫初代理事長、瀬川病(日内変動をきたす遺伝性ジストニア)の瀬川昌也先生、大田原症候群(新生児期発症のてんかん性脳症)の大田原俊輔先生などが、小児期に発症する疾患を神経科学として探究し、世界に名を残す研究成果を挙げてこられました。子どもたちのために、脳科連の先生方のご助力を心からお願い申し上げます。

次回のリレーエッセイは日本リハビリテーション医学会の安保雅博先生にバトンタッチされます。

【(一社)応用脳科学コンソーシアムがキックオフシンポジウムを開催】
『今、なぜ日本企業に「美と感性」が必要なのか ~AIの時代に脳から考える日本企業の経営~ 』
【開催日時】2024年6月7日(金)13:00~16:45 ※会場・オンラインのハイブリッド開催
【会場】JA 共済ビル カンファレンスホール(東京メトロ「永田町駅」 徒歩2分)
【参加費】無料(懇親会ご参加の場合、懇親会参加費:4,000円)
【会場定員】120名(申込多数の場合は抽選)
【申込締切】会場参加申込:2024年6月2日(日)23:59 オンライン参加申込:2024年6月7日(金)13:00

プログラムの詳細とお申し込みはこちら
https://www.can-neuro.org/news/can2024kickoff/

【ランチョン大討論会「私達が望む神経科学の研究環境―よりよき現在と未来へ向けて(仮題)」のお知らせ】
政府では「科学技術・イノベーション基本計画」を策定し、 長期的視野に立って体系的かつ一貫した科学技術政策を実行することとなっています。具体的には 内閣総理大臣からの諮問を受けて、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)において、この基本計画が策定されます。基本計画は、これまでにImPact、SIP、ムーンショット、国際卓越研究大学等の政策に大きな影響を与えてきています。現在、策定中である「第7期科学技術・イノベーション基本計画」 に向かって、神経科学分野の特徴も踏まえつつ、研究費やキャリアパス等について、現場の研究者、特に若手の皆さまからの意見を集約して計画にフィードバックすることを通じ、よりよい研究環境を創っていきましょう!

日時:2024年7月27日(土)12:15〜14:15
場所:Neuro2024(福岡国際会議場第3会場)
主催・企画: 日本神経科学学会・将来計画委員会
後援:日本脳科学関連学会連合

【第32回脳の世紀シンポジウムのお知らせ】
脳の世紀推進会議理事長/ 日本脳科学関連学会連合元代表/ 日本神経学会元代表理事
水澤英洋
 NPO法人「脳の世紀推進会議」は現代社会における脳科学の重要性を広く認識していただくと共に将来を担う若者を脳科学に引き付けることを主な目的として、一般市民や高校生、大学生、院生、若手・中堅研究者及びマスコミや科学技術行政関係者などを主な対象として、1993年以来毎年脳の世紀シンポジウムを開催してきました。
 本年は9月21日(土)13:00-18:55にオンラインにて開催します。メインテーマは「認知症と脳」で特別講演は岩坪 威 東京大学大学院医学系研究科 教授・国立精神・神経医療研究センター神経研究所長と当事者でデイサービス「はっぴい」開設者の山中しのぶさんです。続いて「脳を知る」、「脳を守る」、「脳を創る」、「脳を育む」の4分野から最新の研究成果について講演があります。「脳を知る」分野では長谷川成人 東京都医学総合研究所 認知症プロジェクトリーダー、「脳を守る」分野では樋口真人 量子科学技術研究機構 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部長、「脳を創る」分野では本田直樹 広島大学大学院 統合生命科学研究科教授、「脳を育む」分野では大武美保子 理化学研究所革新知能統合研究センター 認知行動支援技術チームリーダーの講演です。
 これらの講演後、講演者と司会者全員のパネルディスカッションをライブで行う予定です。また、脳の世紀推進会議が主催或いは共催している世界脳週間イベントや脳科学オリンピックに高校生時に参加した学生からのビディオレターの放映もあります。これらのプログラムの詳細は決まり次第脳の世紀推進会議のホームページ(https://www.braincentury.org) にアップされます。
 登録開始は間もなくですが、日本脳科学関連学会連合からは協賛いただいておりますので、皆様におかれましては是非ご参加いただくとともに、関係の方々にも広く紹介していただければ幸いです。

【NPO特定非営利活動法人 脳の世紀推進会議 入会案内】
脳の世紀推進会議では一般会員/賛助会員を募集しております。
下記入会申し込み手続きについてよくお読みのうえ、ご入会ください。

ご入会・入会金、年会費のお支払いのご案内

【事務局だより(主に会員学会事務局向け)】
・評議員の変更がございましたら、事務局までご連絡をお願いいたします。
・メールマガジン内容へのご意見やお問い合わせは、貴学会の事務局経由でお願いします。