2024年7月8日

第5回産学連携諮問委員会

【日本脳科学関連学会連合 第5回産学連携諮問委員会 議事録】

日時

2024年6月9日(日)16:00-18:05

場所

Web会議(Zoom会議)

出席者

池田和隆、伊佐正、池田昭夫、梅田聡、大隅典子、岡野栄之、尾崎紀夫、小澤一史、川合謙介、後藤純信、齊藤延人、竹島多賀夫、中込和幸、平田幸一、宮川剛、石山健夫、上野太郎、菊地哲朗、木村禎治、萩原一平、菱田寛之、平田晋也、守口善也

オブザーバー出席者:
高橋良輔(代表)、松井秀彰(庶務幹事)、
 

欠席者

阿部修、加藤忠史、工藤與亮、黒田輝、田中謙二、林(高木)朗子、藤原一男、松田哲也、松元健二、山脇成人、小原喜一、白尾智明

議事次第

1.産学連携諮問委員会委員長選任
2.産学連携諮問委員会副委員長選任
3.活動報告
4.今後の予定
5.その他

議事内容

会議に先立ち、委員長選任までは高橋代表が進行することが報告され、高橋代表より委員長選出にあたり次の通り説明された。内規に従い、産学連携諮問委員35名全委員の過半数を超えた票数が1位の委員を委員長とすること、学会側から委員長を選出すること、内規には明記はされていないが委員長の再任も妨げないこと、また委員長推薦書において3名の方より池田前委員長の推薦が挙がっていること。これらを踏まえて委員長選出を行うこととなった。

1.産学連携諮問委員会委員長選任
23名の委員より賛同を得られ、池田前委員長が今後2年間引き続き委員長として選出された。
池田委員長が選任されたので以降の審議は委員長が進行することとなった。

2.産学連携諮問委員会副委員長選任
池田委員長より、連携法人側からの副委員長として萩原委員、学会側からの副委員長として尾崎委員が指名され承認された。

3.活動報告
池田委員長より、3月31日に行われた第30回評議員会にて3回目の講演会として、PMDA理事長 藤原康弘先生のご講演があったことが報告された。

萩原副委員長より、応用脳科学コンソーシアム2024キックオフシンポジウム活動について以下の通り報告があった。
・欧米ではHuman Brain ProjectやBRAIN Initiativeがあり、EBRAINSやDANDI Archiveという形でデータベースやシミュレーターが使えるようになっている。一方、日本は脳神経科学統合プログラムが始まっているものの欧米に比べるとデジタル技術が遅れている印象がある。企業へ大きな流れの中に脳科学があることを伝えていきたい。
・2010年~2013年に調査した結果、世界の有名大学30以上のビジネススクールに脳科学の講座がある。The Warton School Wharton Neuroscience Initiativeのビジョンでは、ビジネスと脳科学の融合を掲げており、世界ではこのような大きな流れがある。
世界の脳科学研究の動向は企業活動にも影響を及ぼしており、グローバル企業は脳科学の研究者を抱えて学会での論文発表も行い、世界中のあらゆる産業において脳科学の研究者が企業の中に入っている実情があるが、日本は製薬企業以外あまりいないのが現状である。
・欧米では脳科学を軸にした産業発展のエコ・システムが出来上がっており、これが欧米の強みとなっている。今後は脳科学研究とAI開発の共進化が進むと想定され、想像以上にAIの進化が激しい。脳活動のデコーディングにより質の高い脳データの公開が増えており、データを取るのではなく公開データを使う研究に移行するのではないか。世の中の競争のアクセルが加速している。

伊佐委員より、科学技術振興機構からのKプログラム(経済安全保障重要技術育成プログラム)の公募情報についてお知らせがあった。(募集期間2024年5月28日~2024年8月20日正午)

尾崎副委員長より、5月31日に行われた文科省ライフサイエンス委員会 脳神経科学作業部会について以下の通り報告があった。テーマは「精神・神経疾患の克服と障害支援にむけた産官学連携の在り方について:当事者のニーズを踏まえて」であり、ユーザーである当事者のニーズを前提に報告した旨、説明があった。
・ユーザーの研究への期待トップ3は、病気の原因や病気の仕組みを明らかにする、新しい治療方法の開発、効果が高く副作用の少ない薬の開発であり、現行の薬では治療に限界がある。創薬を望む当事者・家族は産学連携で研究を進めることを願っている。
・脳科連産学連携諮問委員会WG1(健康・医療戦略対応)での産業界からの意見(2022年8月)として、疾患層別化バイオマーカーの必要性を挙げた。
・層別化法・治療薬開発には産学連携は不可欠であること、また産業界からのニーズを踏まえた目標設定が必要であること、研究開発する層別化法・治療法など社会実装した際のユーザー当事者の意識の重要性、産官学連携を推進可能な人材育成プログラムの重要性が挙げられる。

池田委員長より、令和6年5月31日に行われたライフサイエンス委員会 脳神経科学作業部会の資料に基づき、文科省の「脳神経科学統合プログラム」における産業連携のあり方についての次の通り説明があった。
このプログラムにおいても、非競争領域において単独では難しい共通課題に関しアカデミアと産業界が早い段階から連携して取り組むこと、疾患の診断・治療につなげることを念頭におき、基礎研究においても研究計画の段階から企業のニーズを取り込んだ研究の実施をすること、脳統合プログラムの5領域の中でどのように展開していくのか議論していくこと、が明記されている。文科省としても脳科学において産学連携に力を入れて行こうとしている姿勢がある。
また、令和5年6月29日に行われたライフサイエンス委員会 脳神経科学作業部会の資料「今後の脳科学研究の方向性についての中間とりまとめ(抜粋)」においても、産学官が一体となって研究を推進し、基礎研究と臨床研究との連携・協力や産学連携の枠組みが必要であること、産学コンソーシアムを新たに設置し、関係府省、関係企業、新しいプロジェクトを含めた関連事業のPS、PO、AMEDなどが一同に会し、定期的に対話する必要性、研究計画の段階から企業のニーズを取り込むこと、中核拠点や重点研究課題に企業の参画を促す仕組が必要であること、が明記されている。

高橋代表より、文科省の「脳神経科学統合プログラム」について説明があった。文科省ライフサイエンス委員会 脳神経科学作業部会の主な目的は、産官連携を脳神経科学統合プログラムにどのように推進していくか知恵を出して欲しい、ということが大きな目的であり、今後はこのプログラムに支援班が出来る予定で、どういう支援をすれば成果に結びつけられるか議論していく方向である。

池田委員長より、今後理事長を2年間務める国際神経精神薬理学会が先月開催され2600名の参加者、31のセッション、42の企業団体のサポートなど、産業界からの貢献が大きかった大会の報告があった。また4月からNCNPにも勤務を始め、脳の世紀推進会議 総務広報担当理事に就任し色々な情報が入ることを活かし活動していきたい旨、報告があった。

4.今後の予定
池田委員長より、以下の通り説明があった。
・2年間で体制ができ実を結ぶところもありこれらを上手く発展継続させていきたい。脳科連は学会連合であり、各学会の理事長や代表に評議員になっていただいているので、学会側で理事長や代表の任期の関係などで脳科連でも評議員の交代がある。新たに理事長や代表になった方で産学連携の領域を活性化していただける方がいれば委員になっていただきたい。また、関係する学会、評議員の方に再度委員会へのご関心があるかどうか、問い合わせをする予定である。
・11月ごろに拡大委員会を開催予定であり、それまでにWGやTFで具体的な活動をしていただき、より広い形で議論していきたいとの報告があった。

宮川委員より、武田薬品工業 梶井靖先生より以下URLの周知依頼を受けており、お知らせのお願いがあった。ここには、各製薬企業の研究開発ニーズ、オープンイノベーションという意味での各社のニーズがあり、アカデミアと共同研究したいニーズが一覧になっている。

URL: https://www.jpma.or.jp/information/research/RD_needs/index.html

岡野委員よりNeuro2024で産学連携シンポジウム開催https://neuro2024.jnss.org/outline.html)のお知らせがあった。

5.その他
特になし

                                            以上