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脳科連バイマンスリーメールマガジン 2024年9月号(No.26)
http://www.brainscience-union.jp
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日本脳科学関連学会連合会員学会・連携法人会員及び評議員の皆さま

バイマンスリーメールマガジン2024年9月号(No.26)をお届けします。
お手数ですが、貴学会内の会員の皆さまへのメール配信をお願い致します。

❏今号のコンテンツ
・脳科連連携法人本会員のご挨拶文:石山 健夫(住友ファーマ(株))
・第11回脳科学オリンピック結果報告:奥村 哲(脳科学リテラシー委員会委員長 )
・第24回リレーエッセイ:黒澤 美枝子(日本自律神経学会理事長)
・自然科学研究機構生理学研究所 国際シンポジウム2024のご案内
・第32回脳の世紀シンポジウム開催の報告とオンデマンド配信のお知らせ:
  水澤 英洋(脳の世紀推進会議理事長)
・活動報告(8月~9月)
・事務局だより

【脳科連連携法人本会員のご挨拶文】
脳科連連携法人本会員 住友ファーマ株式会社
石山 健夫
産学連携諮問委員会では、WG1、WG3 (TF2 電磁気生理学的計測法)、WG4 (TF3ドラッグリポジショニング推進)に参画するとともに、WG5のグループ長を拝命し、脳科連と製薬協会員会社との連携を促進するとともに、製薬協への橋渡し役を担当しております。

2022年に産学連携諮問委員会が発足して以来、脳科連の諸先生方や他企業の皆様と連携しつつ種々の課題に取り組ませて頂きました。例えば精神神経系領域における国内外製薬企業の創薬生産性に関する比較調査・考察を進め、政策提言に向けて産学共同での意見発出を行い、ドラッグリポジショニングにおける課題につきましては、特許や臨床エビデンスの重要性と活用策等について議論をし、産学にて相互理解を深めるなど、極めて微力ながら日本の脳科学の社会実装に向けた活動の一環に関わらせて頂き、個人的にも大いに学ぶことができました。また、最近ではWG5に所属する製薬企業の皆さんと、脳疾患の創薬を促進するために解決すべき緊急性の高い課題について議論をし、バイオマーカーの重要性を再認識したところであります。この場をお借りしまして、これら様々な機会で連携してくださった皆様に深く御礼申し上げます。

さて、個人的に振り返りますと弊職自身、学生時代には神経可塑性に関する基礎研究を行っておりましたが、元来脳研究の医療応用に強い関心を持っていたこともあり、製薬企業にて薬理研究者の道を歩むことになりました。その後、神経変性疾患に対する神経栄養因子の開発支援研究から始めて、精神疾患に対する自社医薬品候補の差別化や価値最大化の研究に取り組み、さらにはCNS全般の新薬探索研究の運営にも携わって参りました。その過程で、多くの国内外での産産・産学連携の機会にも恵まれました。これまで長年に渡って創薬の高い壁や失敗に立ち向かってきましたが、最近の科学技術の進展により壁自体は低くなりつつあり、がん分野に続く本分野の成長に向けて潮目が変わりつつあることを日々実感しております。何よりQOLを著しく棄損する脳疾患に対する医療ニーズの大きさは高止まりしており、本分野における創薬には強い使命感を感じております。脳科学の目覚ましい進歩を社会実装していくために、産学官連携の重要性は一層増しており、脳科連の本委員会が果たすべき役割も大きいと思います。一個人としては無力でありますが、オープンマインドで脳科学の発展と創薬の前進に貢献して参りたいと思っておりますので、今後とも引き続き御指導・御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【第11回脳科学オリンピック 結果報告】
脳科学リテラシー委員会委員長
奥村 哲
第11回脳科学オリンピック日本大会は、4月末から5月上旬にCBTで行われた予選参加者72名のうち、上位9名を予選通過者とし、7月に日本代表と最終順位を決めるファイナル試験を対面で行いました。その結果、以下の順位が確定いたしました。なお、この入賞者9名は、7月24~27日に福岡で開催されたNeuro2024(第47回日本神経科学大会、第67回日本神経化学会大会、第46回日本生物学的精神医学年学会、第8回アジアオセアニア神経科学連合コングレスの合同大会)に招待され、期間中に表彰式が行われました。また副賞として、坂上雅道, 小松英彦,武藤ゆみ子編集の「教養としての脳」(共立出版)が授与されました。
入賞者のうち、希望者には研究所ラボ見学などの機会が与えられています。日本脳科学関連学会連合(脳科連)・脳科学リテラシー委員会は、今後も、入賞者の皆さんに大学・研究所の研究室見学などや、脳科学関連学会主催の公開イベントへの招待などの機会を作って参ります。

第11回脳科学オリンピック日本大会の最終順位は以下の通り(敬称略)です。
おめでとうございます!

小澤 美咲(1位:日本代表)、松柳 佳奈(2位)、都築 啓太(3位)、淵上 理音(4位)、
奈良 雄大(5位)、守安 巧(6位)、廣井 幌大(7位)、茂木 煌平(8位)、甲斐 悠真(9位)

これまで、資金面を含めて本大会を温かくご支援くださってきた脳科連会員学会の先生方(特に入賞者全員を大会にご招待してくださった日本神経科学学会の先生方)、ラボ見学、学会イベントなどにご協力いただいた(あるいはこれからお引き受けいただく)大学・研究施設等の先生方に深く御礼申し上げます。
なお、今年度の「脳科学オリンピックの寄付金募集」は募集期間:10月7日(月)~12月5日(木)で予定しております。
改めて事務局よりご連絡いたしますのでご協力のほどよろしくお願いいたします。

【第24回リレーエッセイ】
日本自律神経学会理事長 黒澤 美枝子
日本リハビリテーション医学会の安保雅博先生からバトンを受け取りました。日本自律神経学会の黒澤美枝子です。
コロナ禍での制限された生活から解放されたと思ったら、今度は気候変動による各種の災害、今夏は特に記録的な猛暑の毎日でした。このような状況下では原因不明の身体の不調をきたす人が多く、その原因を「自律神経の不調」とし、「自律神経を整えることが大切」との雑誌記事や書籍を多く見かけるようになりました。

自律神経学会はその名称通り、「自律神経」あるいは「自律機能(内臓機能)」をテーマに、基礎・臨床の研究、臨床応用を目指す学会です。日本自律神経学会は、1956年に国際自律神経研究会日本支部会として発足し、1973年以降は、「日本自律神経学会」と名称を変更して今日に至っております。今年で68年の歴史をもつ本学会は、日本医学会および一般社団法人日本医学会連合にも参加しております。

自律神経は、循環器、呼吸器、消化器、泌尿器、生殖器、眼など全身の臓器に分布して、これらの機能を調節し、しかもその調節は精神心理的に影響されやすいことがよく知られています。そのため、本学会が関わる臨床医学の分野は、脳神経内科をはじめ、循環器科、呼吸器科、消化器科、泌尿器科、産婦人科、眼科、心療内科など多様な診療科にわたります。基礎医学の研究は、分子レベルから細胞、組織、器官、個体レベルと多岐にわたり、その分野も生理学、薬理学、解剖学、薬学、生物学、心理学、スポーツ科学などにおよびます。さらに本学会には鍼灸、漢方、リハビリテーションなどの領域も含まれます。このように臨床医、基礎医学研究者、コメディカルと多分野の会員から構成されているのが本学会の特徴でもあります。

本学会は機関誌「自律神経」を年4回発刊しております。自律神経誌の発表論文は、J-STAGE上に公開しております。(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/ans/-char/ja)。
本学会はまた、国際学会との連携も大切にしており、第18回国際自律神経学会(1977年、冲中重雄会長)、第20回国際自律神経学会(1990年、吉川政己会長)、第5回国際自律神経科学会議(2007年、岩田誠会長)、第10回国際自律神経科学会議(2017年、黒岩義之会長)の4回にわたり、日本で国際会議を主催しました。

自律神経学会では毎年1回、総会を開催しております。今年は本連合の代表であられる高橋良輔先生が第77回総会の会長をなさいます。テーマは「面白くてためになる自律神経学」で、10月25日、26日に京都市で開催されます 。(https://www.c-linkage.co.jp/jsnr77/
パーキンソン病と自律神経障害、臓器連関、脳血管障害、頭痛、自律機能検査、体温調節、鍼灸の臨床効果など幅広く自律神経系のテーマが扱われます。脳科連の先生方におかれましては、ぜひ会場(京都テルサ)までお運び頂けると幸いです。

日本自律神経学会といたしまして、身体の不調をきたす多くの方の原因と考えられる「自律神経」について正しい知識を発信していきたいと考える今日この頃です。そして日本脳科学関連学会連合の発展に寄与できるよう尽力させて頂きたいと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

次回のリレーエッセイは日本精神神経学会の三村 將先生にバトンタッチされます。

【自然科学研究機構生理学研究所 国際シンポジウム2024のご案内】
このたび、生理学研究所において、国際シンポジウム
54th International Symposium of the National Institute forPhysiological Sciences 
“Frontiers in Neural Circuit Reorganization Regulation and Pathophysiology”

を以下のとおり開催いたします。
https://sites.google.com/nips.ac.jp/itnl-sympo2024/
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

日程:2024年10月23日(水)~ 10月25日(金)
会場:岡崎コンファレンスセンター
https://sites.google.com/orion.ac.jp/occ/
講演者:
eff Lichtman (Harvard University)
Guang Yang (Columbia University)
Wen-Biao Gan (Shenzhen Bay Laboratory)
Valentin Nägerl (University of Bordeaux)
Baljit Khakh (University of California)
Knut Kirmse (University of Würzburg)
Claudio Rivera Baeza (University of Helsinki)
Long-Jun Wu (University of Texas Health Science Center)
Ania Majewska (University of Rochester Medical Center)
Changjoon Justin Lee (Institute for Basic Science)
Won-Suk Chung (Korea Advanced Institute of Science and Technology)
Frank Kirchhoff (University of Saarland)
Sun Kwang Kim (Kyung Hee University)
Schuichi Koizumi (University of Yamanashi)
Jun Nagai (RIKEN Center for Brain Science)
Shigeo Okabe (The University of Tokyo)
Fusao Kato (The Jikei University School of Medicine)
Makoto Tsuda (Kyushu University)
Atsuo Fukuda (Hamamatsu University School of Medicine)
Hiroaki Wake (Nagoya University)
Junichi Nabekura (National Insutitute for Physiological Sciences)

ご参加ご希望の方は、以下のサイトからお申し込み下さい(参加費無料、懇親会は別途飲料費をいただきます)。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdgfyge723tL-NX12ds2XMUaLGZkHpUCojsdUdalWmPVgO2-A/viewform

生理学研究所 国際シンポジウム2024
チーフオーガナイザー 鍋倉 淳一

【第32回脳の世紀シンポジウム開催の報告とオンデマンド配信のお知らせ】
脳の世紀推進会議理事長/ 日本脳科学関連学会連合元代表/ 日本神経学会元代表理事
水澤 英洋
去る9月21日(土)13:00~18:45に第32回脳の世紀シンポジウム「認知症と脳」がオンライン開催でライブ配信されました。事前登録で800名を超える方々から参加していただきました。脳科学関連学会連合の皆様には大変お世話になりありがとうございました。心より御礼申し上げます。ご登録いただいた方には、今後約1ヶ月に亘ってオンデマンド配信にて、いつでもお好きなところを何度でもご視聴いただけますので、是非お楽しみください。

シンポジウムでは、まず特別講演として、岩坪威 国立精神・神経医療研究センター神経研究所 所長/東京大学大学院医学系研究科神経病理学分野教授から、世界初の疾患修飾薬であるレカネマブの開発を含めたアルツハイマー病全体についてのお話の後、山中しのぶ 一般社団法人 セカンド・ストーリー 代表理事から、41歳で若年性アルツハイマー病と診断され、死を考えたこともある状況から、仲間と共にデイケアセンターなど2つの法人を運営する現在に至るまでのセカンドストーリーを語っていただき、大変大きな感銘を与えていただきました。

続いては脳の世紀シンポジウムの特徴である「脳を知る」、「脳を守る」、「脳を創る」、「脳を育む」の4領域から最新の研究成果について、日本の誇る世界のトップランナーにご講演いただきました。すなわち、認知症の脳に蓄積するアミロイドβなど異常タンパク質の分子構造のクライオ電顕による解明(長谷川 成人 東京都医学総合研究所 脳・神経科学研究分野 分野長・認知症プロジェクトプロジェクトリーダー)、タウなどそれらの異常タンパク質のPETによる視覚化(樋口 真人 量子科学技術研究開発機構 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究センター センター長)、脳に留まらず全身臓器における変化を捉えるというムーンショット研究(本田 直樹広島大学大学院 統合生命科学研究科データ駆動生物学研究室教授)、脳にはしっかりと病変があるにも拘わらず認知症には陥らないよう予備力を高める理論と実践(大武 美保子 理化学研究所 革新知能統合研究センター 認知行動支援技術チーム チームリーダー)です。

最後に、山中さんを含め全ての講師と座長などが参加して50分に亘ってパネルデイスカッションを行い、多くの話題について理解を深めていただけたと思います。また、脳の世紀推進会議は他にも世界脳週間イベントを全国で主催し、脳科学オリンピックにも協力していますが、途中の休憩時間には、これらに参加した高校生からその体験をビデオメッセージで伝えて貰いました。
終了後、多くの参加者の皆様から大変よかった、感動した、高校生の活躍が素晴らしい、さっそくお友達に登録したなど、様々なご意見をいただき、関係者一同感謝しております。今後とも引き続きご支援いただきますよう、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

【活動報告(8月~9月)】
・第37回運営委員会(メール審議9月6日〜9月11日)
・デジタルブレインワークショップ(9月19日〜21日)

【事務局だより(主に会員学会事務局向け)】
・脳科学オリンピックの寄付金募集をいたします。(募集期間:10月7日(月)~12月5日(木))
改めてご連絡いたしますので、ご協力をよろしくお願い致します。
・評議員の変更がございましたら、事務局までご連絡をお願いいたします。
・メールマガジン内容へのご意見やお問い合わせは、貴学会の事務局経由でお願いします。

(代理発送)
日本脳科学関連学会連合事務局