===========================
脳科連バイマンスリーメールマガジン 2023年1月号(No.16)
http://www.brainscience-union.jp
===========================
日本脳科学関連学会連合会員学会・連携法人会員及び評議員の皆さま
バイマンスリーメールマガジン2023年1月号(No.16)をお届けします。
お手数ですが、貴学会内の会員の皆さまへのメール配信をお願い致します。
❏今号のコンテンツ
・脳科連代表就任のご挨拶(高橋良輔代表)
・選挙管理委員会からのご報告とお礼 選挙管理委員会委員長 加藤総夫
・第15回リレーエッセイ:斎藤延人(日本脳神経外科学会常務理事)
・活動報告(12~1月)
・副代表選挙・運営委員選挙
・第5回将来構想委員会(12月11日)
・第26回評議員会(12月25日)
・事務局だより
【脳科連代表就任のご挨拶】
京都大学大学院医学研究科臨床神経学(脳神経内科)
高橋良輔
2023年1月より脳科連の新代表に就任しました高橋良輔です。これから2年間、副代表の岡野栄之先生(日本神経化学会/慶應義塾大学)、加藤忠史先生(日本生物学的精神医学会/順天堂大学)とともに、今後2年間脳科連のミッションを果たすべく務めさせていただきます。
まず簡単に自己紹介をさせていただきます。
私は1983年京都大学医学部を卒業し、脳神経内科医としてキャリアをスタートさせました。
しかし神経変性疾患に有効な治療法がきわめて限られている現実に直面し、卒後7年目の1989年に東京都神経科学総合研究所に入職し治療につながる研究をめざし、神経栄養因子の基礎研究を開始しました。その後米国留学(1995年-1997年)では細胞死の研究に従事、1999年から理化学研究所脳科学総合研究センター(BSI)で研究室を主宰する立場となり、パーキンソン病とALSの分子メカニズムの研究を推進、2005年からは現職である京都大学医学研究科臨床神経学(脳神経内科)教授として主としてパーキンソン病とその類縁疾患の診療と研究に携わっております。私はこのように基礎と臨床を往復する経歴の中から、疾患のメカニズム・治療法開発研究の推進のためには臨床医学だけでは不十分で、基礎神経科学の発展と基礎・臨床の緊密な連携が不可欠であることを学びました。学会活動面ではこれまで日本神経学会、日本神経科学学会、日本自律神経学会、日本認知症学会、日本神経精神薬理学会の理事を務めてまいりました。さらに脳科連では運営委員・副代表を経験し、現在日本学術会議「脳とこころ分科会」委員長も務めております。国際的にも国際パーキンソン病運動障害疾患学会(MDS)の Scientific Issues Committeeのチェア、そしてアジアオセアニア神経学連合(AOAN)の副会長も務めており、国際貢献・国際協調にも努力しております。
さて、脳科連の概要と目的はホームページで以下のように紹介されています。「我が国の脳科学の基礎・臨床研究者を代表し、脳科学の発展ならびに普及を通して社会に貢献することを目的として、国内の基礎・臨床脳科学関連19学会によって設立されました。本連合は、学協会活動に関する情報連絡の便宜を図るとともに、必要に応じて脳科学コミュニティの意見を集約し、政府や国民、学協会等に対して積極的に意見を表明していきます。」すなわち脳科学界の意見を集約して力強い声として世間に訴えていくことが脳科連の課せられた最も重要なミッションです。
現在は会員学会が30に増え、それに伴う活動も大変活発になっております。伊佐 正先生が代表を務められた2020年から2022年は大きな変革の時期でした。事務局をボランティアで引き受けていただいていた理研から(公財)農学会に委託することになりました。また産学連携を推進する目的で産学連携諮問委員会(池田和隆委員長)が設立され、26もの企業・団体が連携法人会員に加わっていただきました。学界と企業が連携して脳科学界の共通の研究推進のビジョンを国や研究費配分機関に訴える体制が整ったことは画期的です。
今後も健全なアカデミアと企業の関係を保ちながら、我が国における基礎脳科学の発展と、精神・神経疾患の克服に向けた脳科学研究の推進に脳科連が大きな役割を果たせるよう、努力してまいります。会員学会、連携法人会員の先生方のご支援、ご指導を何卒よろしくお願い申し上げます。
【選挙管理委員会からのご報告とお礼 】
選挙管理委員会委員
加藤総夫(日本生理学会・委員長)
鮫島和行(日本神経回路学会)
山中宏二(日本神経免疫学会)
2023年1月,脳科連は第6期を迎えました。この第6期の活動を牽引する代表、副代表、および、運営委員選挙の選挙が昨年行われました。COVID-19感染拡大の影響で対面の評議員会が開催されなかったこと、および、脳科連の活動年度の変更のため、従来とは異なるスケジュールで、すべてWEB公示・WEB投票での選挙となりましたが、評議員各位のご協力のおかげで問題なく選挙が行われました。感謝申し上げます。選挙結果は以下の通りです。
◆代表
推薦と立候補を2022年5月16日~6月13日に受け付けました。その結果、推薦書提出のあった8学会すべてから推薦された高橋良輔評議員(日本神経学会)が連合代表選出議決細則第7項に基づき第6期連合代表に選出されました。
◆副代表
11月25日~30日に立候補と推薦を受け付けたところ、2名の定員に対し3名の推薦があり12月1日から6日まで無記名投票を行いました。その結果、加藤 忠史評議員(日本生物学的精神医学会)および岡野 栄之評議員(日本神経化学会)が副代表に選ばれました。投票者と投票内容が特定できないように乱数化された投票用IDコードでGoogleFormsを用いてご投票いただき、混乱や問題なく行われました。
◆運営委員
12月8日~14日(水)に立候補・推薦を募集したところ5名の推薦があり、規程に従って、
池田 和隆評議員(日本アルコール・アディクション医学会)、岩坪 威評議員(日本認知症学会)、
上田 陽一評議員(日本神経内分泌学会),大隅 典子評議員(日本神経精神薬理学会)、
柚﨑 通介評議員(日本神経科学学会)の5名が運営委員に選ばれました。
今回は、代表等の任期の変更、評議員会も含めたWEB開催下のオンライン投票など、かつてない状況での役員選挙でしたが、滞りなく厳粛に行われましたこと、評議員のご理解とご協力のおかげと感謝申し上げます。また、第6期から新たに連合の事務を担ってくださっている事務局黒住圭子様・吉田恵理子様のご尽力にこの場を借りてお礼申し上げます。
(文責:加藤)
【第15回リレーエッセイ】
日本脳神経外科学会常務理事 齊藤延人
日本てんかん学会の川合謙介理事長よりご指名を受けました。日本脳神経外科学会についてご紹介させていただきます。
日本脳神経外科学会は、1948年に日本脳・神経外科研究会研究会として発足し、1952年には研究会から学会に格上げとなりました。1965年に医療法の改正により脳神経外科が診療科として認められ、「脳、髄及び末梢神経に関する外科」と定義されました。この時に名称も日本脳神経外科学会と改称され、現在に至ります。1967年に麻酔科学会に次いで専門医認定制度をスタートさせ、令和4年9月現在で7,927名の脳神経外科専門医が認定されており、会員総数は10,418名の団体に成長しています。この間、1999年に基本診療科として承認され、2011年に日本専門医認定制機構による認定を受けています。
脳神経外科の対象は、国民病とも言える脳卒中(脳血管性障害)や脳神経外傷などの救急疾患、脳腫瘍に加え、てんかん・パーキンソン病・三叉神経痛・顔面けいれん等の機能的疾患、 小児疾患、脊髄・脊椎・末梢神経疾患などです。脳神経外科専門医は、これらの予防や診断、救急治療、手術および非手術的治療、あるいはリハビリテーションにおいて、 総合的かつ専門的知識と診療技術を持ち、必要に応じて他の専門医への転送判断も的確に行える能力を備えた医師です。
脳神経外科の発展は、CTやMRI等の画像診断技術の進歩や、手術顕微鏡や放射線治療装置、神経内視鏡など、医療機器の進歩により支えられてきました。開頭術や穿頭術による頭部外傷の手術は、初期の頃から扱われ、脳神経外科の基本的な治療手技となっています。脳卒中の分野では、くも膜下出血や未破裂脳動脈瘤に対する脳動脈瘤クリッピング術に加えて、最近では血管内治療による脳動脈瘤のコイル塞栓術も普及しています。また、脳塞栓症に対しても血管内治療による血栓回収療法が著しく進歩しており、その成績も急激に向上しています。 脳腫瘍の領域では、頭蓋底手術等の難しい部位の顕微鏡手術が進歩していましたが、それに加えて、最近では神経内視鏡手術による経鼻的なアプローチでも手術ができるようになってきました。またガンマナイフやサイバーナイフなど手術以外の治療法にも対応します。悪性腫瘍に関しては、テモゾロミドなどの効果のある治療薬も出現し、また病理診断も遺伝子診断を取り入れたものへと大きく転換しつつあります。これに伴い分子標的療法を視野に入れた治療薬の開発が求められています。
脊髄の腫瘍や脊椎変性疾患も脳神経外科の守備範囲であり、整形外科と共同してサブスペシャリティー分野の専門医制度を確立しています。さらに、水頭症や髄膜瘤など小児の疾患や、てんかんの外科手術やパーキンソン病などへの脳深部刺激療法も扱っています。
このように、臨床の守備範囲が広いばかりでなく、研究面での守備範囲も、神経科学を始め、腫瘍学、画像診断学、放射線治療学など、扱う分野が幅広いことも特徴です。
次回のリレーエッセイは加藤忠史先生(日本生物学的精神医学会 理事長)にバトンタッチされます。
【活動報告(12~1月)】
・副代表選挙・運営委員選挙
・第5回将来構想委員会(12月11日)
・第26回評議員会(12月25日)
【事務局だより(主に会員学会事務局向け)】
・評議員の変更がございましたら、事務局までご連絡をお願いいたします。
・メールマガジン内容へのご意見やお問い合わせは、貴学会の事務局経由でお願いします。
(代理発送)
日本脳科学関連学会連合事務局
office@brainscience-union.jp
URL:http://www.brainscience-union.jp/
〒113-8657 東京大学農学部内
TEL: 03-5842-2210 / FAX: 03-5842-2237