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脳科連バイマンスリーメールマガジン 2025年3月号(No.29)
http://www.brainscience-union.jp
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日本脳科学関連学会連合会員学会・連携法人会員及び評議員の皆さま
❏今号のコンテンツ
・脳科連代表退任のご挨拶:髙橋 良輔(日本脳科学関連学会連合代表)
・脳科連代表就任のご挨拶:岡野 栄之(日本脳科学関連学会連合次期代表)
・広報委員会委員長交代のご挨拶:上田 陽一(日本神経内分泌学会理事、産業医科大学 学長)
・第26回リレーエッセイ:花島 律子(日本パーキンソン病・運動障害疾患学会代表理事)
・活動報告(2月~3月)
・事務局だより
【脳科連代表退任のご挨拶】
脳科連代表
高橋 良輔 (京都大学総合研究推進本部 参与 特定教授)
このたび2025年3月30日をもって任期満了により脳科連代表を退任することになりました。高橋 良輔(日本神経学会)です。2023年1月1日に着任しまして以来、副代表の岡野 栄之(日本神経化学会、以下敬称略)、加藤 忠史(日本生物学的精神医学会)、運営委員の池田 和隆(日本アルコール・アディクション医学会)、岩坪 威(日本認知症学会)、上田 陽一(日本神経内分泌学会)、大隅 典子(日本神経精神薬理学会)、柚﨑 通介(日本神経科学学会)、代表補佐の伊佐 正(日本神経科学学会)、鈴木 匡子(日本神経心理学会)、松田 哲也(日本ヒト脳マッピング学会)、山脇 成人(日本神経精神薬理学会)、各種委員会の委員、そして会員学会評議員の先生方、連携法人会員の皆様には温かいご支援ご指導を誠にありがとうございました。実務面では今期より新たに設けられた庶務幹事の松井 秀彰先生、会計幹事の古屋敷 智之先生には本務も大変お忙しい中、事務面で手厚いご支援ご協力を頂き厚く御礼申し上げます。また事務局の黒住 圭子・吉田 恵理子様にも迅速かつ丁寧な業務遂行に深謝申し上げます。
私が代表を務めた2年間はコロナ収束の時期に一致し、対面の会合も増え、社会活動がコロナ前に徐々に復していった時期でした。着任後、約1年後の2024年度よりAMED脳神経科学統合プログラム(脳統合)が開始され、図らずも私自身が脳統合のプログラムスーパーバイザーを拝命することになりました。脳科連と脳統合の連携がよりスムーズになり、脳統合「デジタル脳」発足に向けて、脳科連と九州大学マスフォアインダストリープラットフォーム(MfIP)の共催で、「数学と脳科学の連携に向けたワークショップ」が中江 健先生(日本神経回路学会)にオーガナイザーを務めていただき、2023年12月に対面会議としてはじめて開催されました。これは学会横断的な組織としての脳科連の役割が生かされた画期的なイベントであったと考えております。
また学会連合としての脳科連への学界からの期待の高さを感じることも多くありました。2024年初頭より生物科学学会連合(生科連)よりお声がけいただき、日本医学会連合をはじめ多くの学会連合とともに盛山文部科学大臣(当時)に「科研費増額要望書」を提出いたしました。これは2025年度科研費の2億円の増額という成果につながりました。また、文科省の博士人材活躍プラン、雇い止め問題についての2点につき、柚崎運営委員(日本神経科学学会)、宮川評議員(日本神経科学学会)とともに脳科連代表として盛山文科大臣(当時)と面談・意見交換を行いました。さらにNPO法人動物実験関係者連絡協議会(動連協)高田 昌彦理事長の要請による次期動物愛護管理法改正に関わる要望書への署名も賛同いたしました。また2025年1月に開催されたAMED主催の「性差を考慮した研究開発の推進」研修会にもお声がけいただき、脳科連が共催させていただきました。さらに日本学術会議からも学会連合との連携を主眼とする「円卓会議(仮称)」の第一回に招かれ、学術会議との連携を協議して参りました。進展目覚ましいニューロテックについても脳科連の果たすべき役割について運営委員会で議論が始まったところです。学術と社会とのかかわりが益々密接になるなかで、「必要に応じて脳科学コミュニティの意見を集約し、政府や国民、学協会等に対して積極的に意見を表明する」と概要にうたわれている脳科連の使命が重みを増してきたことを強く感じる2年間でした。一方、従来から継続している高校生への脳科学教育企画である脳科学オリンピックは奥村 哲脳科学リテラシー委員長のご尽力で2年間無事に行うことができております。
次期代表の岡野 栄之先生にはぜひ多岐にわたり、また益々重要性の高まる脳科連のかじとりを何卒宜しくお願い申し上げます。私自身は代表退任後も微力ですが脳科連の活動に貢献したく存じますので、引き続き御指導・ご鞭撻をいただけましたら幸いです。
【脳科連代表就任のご挨拶】
脳科連次期代表
岡野 栄之(慶應義塾大学再生医療リサーチセンター)
日本脳科学関連学会連合会員学会・連携法人会員・評議員の皆様このたび2025年より、日本脳科学関連学会連合(脳科連)の代表を務めさせていただくことになりました、慶應義塾大学再生医療リサーチセンターの岡野 栄之と申します。これからの2年間、脳科連の副代表ならびに運営委員の先生方と連携し、日本の脳科学界のさらなる発展に微力ながら尽力させていただきます。
私自身の略歴を簡単にご紹介させていただきますと、1983年に慶應義塾大学医学部を卒業し、生理学教室にて研究者としての道を歩み始めました。その後、米国ジョンス・ホプキンス大学医学部、大阪大学蛋白質研究所・医学部、東京大学医科学研究所、筑波大学、最近ではMIT・McGovern脳研究所など国内外の研究機関で、神経科学の基礎研究とその医学的応用に関する研究に取り組んでまいりました。2001年から2024年まで慶應義塾大学医学部生理学教室教授を務め、その間、医学研究科委員長や医学部長などの役職を経験いたしました。学会活動としては、日本神経化学会理事長(2021-2023)を務めました。現在は慶應義塾大学再生医療リサーチセンター長として、神経再生研究と疾患治療の開発に取り組んでおります。
脳科連は、日本の基礎・臨床脳科学分野の30を超える学会と多くの連携法人会員から構成され、脳科学研究の社会への普及と研究環境の整備に尽力しています。私の経験を活かし、研究者と社会、そして基礎と臨床とのさらなる融合・連携を推進してまいります。また、産学官の密接な連携を推し進め、国際社会とも協調しつつ、日本発の研究成果が世界の脳科学の発展に貢献できるような取り組みを進めてまいる所存です。
脳科連の活動がより活発で実り多いものとなりますよう、会員学会の皆様方からの温かいご支援、ご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
【広報委員会委員長交代のご挨拶】
広報委員長
上田 陽一(日本神経内分泌学会理事、産業医科大学 学長)
メルマガ、知ってなるほど!脳科学豆知識、そしてホームページ。 伊佐 正前代表のご発案のもとバイマンスリーメールマガジン(メルマガ)配信が2020年7月(No.1)から隔月で始まり、本号でNo.29となりました。第1回リレーエッセイは、No.2から日本神経内分泌学会の紹介で始まり、エッセイの筆者が次のエッセイ担当者を指名するという“友だちの輪”スタイルで第25回に達しています。“知ってなるほど!脳科学豆知識”は、2016年7月の第1回“ストレスと脳〜さあ、ストレスチェック〜”で始まり、2025年1月の第35回“病気の『痕跡』から本質へ”と順調です。このコーナーは注目度がとても高く、アクセス数が累計1万件を超える回が複数あります。ご寄稿に際しましては、ご多忙中にもかかわらず皆様に快くお引き受けいただき心より感謝申し上げます。
このほか、ホームページにはニュース、お知らせ、会員学会、連携法人会員の掲載など、リンクを張っています。このたび、広報委員長を交代いたしますが、長年にわたり広報委員・委員長を務めさせていただき皆様にご支援いただきましたことに心より感謝申し上げます。メルマガ配信、知ってなるほど!脳科学豆知識を含むホームページの随時更新などいつも事務局の黒住 圭子さま・吉田 恵理子さまに大変お世話になっています。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。今後とも脳科連の広報活動にご協力・ご支援いただきますようお願い申し上げます。
【第26回リレーエッセイ】
日本パーキンソン病・運動障害疾患学会代表理事 花島 律子
三村 將先生(日本精神神経学会)よりバトンを受け取りました、パーキンソン病・運動障害疾患学会(Movement Disorder Society of Japan, 以下MDSJ)の代表理事を拝命しております鳥取大学・脳神経内科学講座の花島 律子です。MDSJのご紹介をさせていただきます。
運動障害疾患(Movement Disorders)という言葉は、日本ではあまり馴染みのないものだと思います。身体が動かし難い、もしくは意図しない余計な動きが出てしまう症状を呈する疾患のことを、Movement Disordersといいます。麻痺などの運動症状は含まれません。具体的には、振戦やジストニア、ミオクローヌスといった不随意運動や、動きが遅くなるパーキンソン病、脊髄小脳変性症などの運動失調などを扱います。海外ではMovement Disorderの専門外来があり、専門医もいる分野です。高齢化に伴い世界的にも有病率が増加し、一部の専門家だけではなく社会的にも疾患に対する関心が増しており、この分野の重要性が高まってきています。基礎研究から臨床診断・治療、ケアなどMovement Disordersに関係した全ての領域の発展を目指すとともに、Movement Disordersの社会的認知度を高めて、患者さんの診療向上を目指したいと考えています。
学会の組織は、MDSJ はInternational Parkinson’s disease and Movement Disorder SocietyのAsia-Oceania Sectionの日本支部となっており、2001年5月創設されました。Internationalの組織に倣い、President(代表理事)、ecretary(総務理事)、Treasurer(財務理事)、President-elect(次期代表理事)、Secretary-elect(次期総務理事)、Treasurer-elect(次期財務理事)、Past President(前代表理事)の7名を理事として運営しています。現在、会員数は1,009名で、脳神経内科医、脳神経小児科医、脳外科医、リハビリテーション医、基礎医学研究者などの他、看護師、介護士、療法士などメディカルスタッフが会員となっています。子供から成人、動物およびヒトを対象にした生化学、遺伝子、生理学、病理学などの基礎研究、薬物療法から外科手術、リハビリテーション、看護・介護など種々の専門家が集まっています。
学会では、年に一回の学術集会のほか、医療従事者を対象にした教育研修会、実際の不随運動を動画で学習するビデオフォーラムをそれぞれ年に1回実施しています。また、PDナース・メディカルスタッフ研修会を日本各地で年に4回行い「パーキンソン病療養指導士」の資格認定を行うなど、標準的診断および治療の知識普及のための教育に力をいれています。また、本領域の疾患の認知向上にも努めております。Movement Disordersの専門家が担当するほうが患者の生命予後が良いというデーターも報告されており、是非多くの方に参加していただきたいと思っております。
以上のような学際的な学会として、日本脳科学関連学会連合の発展に少しでも貢献させて頂きたいと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
次回のリレーエッセイは日本臨床神経生理学会 理事長の今井 富裕先生にバトンタッチされます。
【活動報告(2月~3月)】
・第42回運営委員会(2月16日)
・第43回運営委員会(3月30日)
・第32回評議員会(3月30日)
・APPW2025 第130回日本解剖学会・第102回日本生理学会・第98回日本薬理学会 合同大会
(3月17日~3月19日)(共催)
【事務局だより(主に会員学会事務局向け)】
・評議員の変更がございましたら、事務局までご連絡をお願いいたします。
・メールマガジン内容へのご意見やお問い合わせは、貴学会の事務局経由でお願いします。
(代理発送)
日本脳科学関連学会連合事務局
office@brainscience-union.jp
URL:http://www.brainscience-union.jp/
〒113-8657 東京大学農学部内
TEL: 03-5842-2210 / FAX: 03-5842-2237